ビジネスでAIに頼っていい場面と危険な場面の基本整理

AIは、条件を整理して使うことで業務を効率化できる一方、情報をそのまま信じ込むと誤った判断につながるおそれがあると指摘されている。まずは、どのような場面で頼りやすく、どのような場面では慎重さが求められるかを整理しておくことが重要とされる。

一般的に、AIが得意とされるのは「大量の情報を整理する作業」や「型が決まった文章や資料のたたき台づくり」である。会議の議事録を要約したり、メールの文案候補を複数出したり、過去のデータから傾向をざっくり把握したりする用途では、時間短縮効果が確認されている。こうした場面では、AIはあくまで「作業を早める道具」として扱いやすい。

一方で、「判断」や「責任」が強く関わる場面では、AIの情報をそのまま採用することは危険とされる。契約内容の解釈、人事評価や採用の可否、金額の大きい投資判断、医療や安全に関わる助言などは、その結果が人や組織に長く影響しやすい。AIは学習したデータに依存しており、事実と異なる内容をもっともらしく提示する例も報告されているためである。

さらに、AIは必ずしも最新の情報だけを反映しているわけではなく、根拠となる情報源を十分に示さない場合もある。そのため、法令や社内規程、技術仕様など「更新頻度が高く、解釈に慎重さが必要な情報」については、人が公式な資料を確認する手順を外さないことが推奨されている。

実務でAIを利用する際は、「目的」「リスクの大きさ」「確認にかけられる時間」という三つの観点で場面を分類する方法があるとされる。目的が単純な資料作成で、結果が多少不正確でも被害が小さいならAIに任せやすい。逆に、判断を誤ると損失やトラブルが大きくなる場面では、AIはあくまで参考情報とし、人が一次情報を確認する運用が基本になる。

このように、AIに頼ってよい場面と慎重さが必要な場面をあらかじめ整理しておくことは、ビジネス利用におけるリスクを抑えつつ、利便性を活かすための前提条件とされている。